しょうゆの産地・大野町でイベント-地元ロケの映画「しあわせのかおり」PRも

出来上がった中国料理の試食を行う料理教室参加者たち

出来上がった中国料理の試食を行う料理教室参加者たち

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 今でも数多くの蔵元がしょうゆの醸造を営むことでも有名な金沢市の産地「大野町」で9月14日、同町全体を舞台にした体験型イベント「大野こまちなみフェスタ」が開催された。

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 同町は、江戸時代の買積船「北前船(きたまえぶね)」により大豆や塩などの原材料を調達し、加賀百万石の大消費地をバックにしょうゆ醸造業で栄え、最盛期には醸造蔵が60軒を数えたという。現在でも人口2,000人ほどの町で24軒ものしょうゆの蔵元が醸造を継続しており、「町内」の単位でしょうゆの醸造組合を持つのは全国でもここだけ。

 昭和40年代に醸造工程の一部を共同生産することになってからは、原材料を保管する蔵が遊休化。それを受け同町では、10年ほど前から空き蔵を、カフェやギャラリー、アーティストのアトリエに貸し出すなどして「まちづくり」を進めてきた。金沢市が市内10カ所で制定した「こまちなみ保存条例」の対象地域のひとつとして、歴史ある街並みが今も色濃く残っている。

 同イベントは、そうした蔵でのライブや、「こまちなみ保存条例」に指定された町屋に眠る「お宝」を公開するなどしたほか、大野灯台の一般公開や金沢港体験航海など、北前船の町ならではの特徴を生かした催しが行われた。中でも、今秋公開予定で、風情ある大野の町を舞台に撮影された映画「しあわせのかおり」(配給=東映)のPRを兼ねた料理教室には多数の参加者が集まった。

 教室では、中谷美紀さん、藤竜也さんが演じる映画での料理を指導し、点心料理の名人として知られる茂手木章(もてぎあきら)さんを講師に招き、大野しょうゆを使った中国料理のレシピを紹介。教室には、東京から参加したという若い女性会社員などの姿も。スタンプラリーでは、人気の「しょうゆソフト」がプレゼントされ、大人から子どもまで多数の来場者でにぎわった。

 実行委員の一人、しょうゆソフトで有名な「もろみ蔵」オーナーで「紺市醤油」の紺田健司さんは「今年で20回目の節目を迎えた。昨年からは町屋とアーティストとのコラボレーションも行い、一定の成果を得てきた。少ない予算で毎年の開催は年々厳しくなっているが、こうした手作りのイベントは地域のコミュニティーのきずなが強く残る大野だからできること。来年からは駅からのシャトルバスを出したり、近隣の町とも広域連携していきたい」と語る。

 足元にある地域資源を武器にして、「しょうゆの町」大野町が新たな挑戦を続けている。

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