9月13日・14日に「ビッグ・スライドショウ」を行うハリウッド俳優で映画監督のクリスピン・グローヴァーさんが同11日、公演会場の金沢21世紀美術館シアター21(金沢市広坂1)で日本初公開の自作映画などについて思いを語った。
ビッグ・スライドショウは、9月12日~19日に金沢市内の映画館などで開催される「カナザワ映画祭2008 フィルマゲドン」(かなざわ映画の会主催)の一環。当日は、グローヴァーさんの監督作品「What Is It?」(2005年・米国)と「It is Fine! Everything is Fine.」(2007年・米国)を上映するほか、グローヴァーさん自身の語りを交えたスライドショー、質疑応答、サイン会が行われる。
「What Is It?」と「It is Fine! Everything is Fine.」は、「IT」3部作の第1作と第2作。「What Is It?」はグローヴァーさんの妄想を映画化したもので、ダウン症の人々を役者として起用した作品。「この作品は、ハリウッド的なシステムと対極にある。ハリウッド作品は観客に嫌な思いをさせないのが身上だが、この作品はその逆で、見た人の心を乱すように作った。数多くのタブーを盛り込んであるので、作品を見た人には、そのタブーについて『What is it?(これは何だ?)』と自分の頭で考えてほしい。タブーは文化によって異なるので、米国とは文化が異なる日本でこの作品がどのように受け止められるかを非常に楽しみにしている」(グローヴァーさん)。
「It is Fine! Everything is Fine.」の脚本を手がけたのは、第1作に出演したスティーブン・C・スチュワートさん。身体まひのために10年間、個人施設に閉じ込められ、知的障害者として扱われていたスチュワートさんは、自伝的な内容をテレビの殺人もののミステリー番組の手法をとって書き上げた。グローヴァーさんは同作品について、「幼稚なミステリー番組の手法をとったことによってかえって自伝的な要素が際立ち、面白い効果を生み出している。一種のアウトサイダーアートになっており、それを映画化できたことは私の誇り」と語った。
映画の上映前に行われるスライドショーでは、19世紀の本の挿絵をスクリーンに映し、グローヴァーさんが本の内容についてナレーションを行う。
同会によると、同公演の入場券はほぼ完売状態だが、当日券を若干販売する予定だという。