江戸初期から続く金沢の酒蔵「やちや酒造」(金沢市大樋町8)で、本年度初めての酒の搾りがはじまった。
「搾り」の作業は上槽といい、精米に始まり蒸米から製麹(せいきく)、仕込み・発酵と長い期間をかけてできあがったもろみを圧搾し、酒かすを分離して原酒を取り出す作業のこと。この初しぼりで秋口から始まった本年度の酒造りの出来栄えが評価される。
「能登杜氏(とうじ)四天王」の一人で、同酒蔵の杜氏・山岸昭治さんは今年の仕込みについて、「昨年以上のいい出来になるだろう」と話し、この日行われた酒蔵の見学者らを喜ばせた。
やちや酒蔵は金沢駅からも近く、一般に向けて積極的に酒蔵見学を実施している。新幹線開業と合わせるように人気が高まり、お酒の売れ行きも好調に推移。仕込む酒量も、以前の300石ほどから今年は400石を超える。
同酒蔵をよく訪れる日本酒愛好会「金澤三水会」の森田美美さんは、「たくさんの人が加賀前田家とゆかりも深いこの酒蔵で清酒造りに触れ、文化としての日本酒とその味わいを知って楽しんでもらえれば」と話す。