金沢・浅野川沿いの住宅街に8月18日、一棟貸しの宿「橋端家(はしばや)」(金沢市橋場町1丁目)が開業した。
10年ほど前まで住宅として利用されていた、築100年超の木造2階建ての町家をリノベーションした同宿。1階には居間と中庭、洗面所、シャワールームを設け、2階は2間続きの和室を寝室として利用し、最大6人までの宿泊に対応する。
「街の住人になった気分で過ごせる宿」をコンセプトに、独自の視点で物件を紹介する不動産セレクトサイト「東京R不動産」を運営するスピーク(東京都渋谷区)と「金沢R不動産」を運営するE.N.N.(金沢市新竪町)が共同で運営。新しくスピークが立ち上げた全国の宿を紹介するポータルサイト「HOWSTAY」から予約を受け付ける。
1階の居間から続く中庭は、戸室石の古材や九谷焼の靴脱ぎ、板彫りの梅鉢の掘り込みなど金沢らしさを取り入れながら、「暮らしの中にある庭」を再現したという。桝井淳介デザインスタジオ(神奈川県横浜市)が手掛けた。
スピークの吉里裕也さんは「ありきたりの観光旅行ではない住人の暮らしを体験する新しい旅のスタイルを提案できれば。『街全体をネットワーク型ホテルに』の構想を基に、金沢で同様の宿や施設を展開していきたい」と意気込む。
E.N.N.は建築設計や不動産業の傍ら、町家をリノベーションした土産店「八百萬本舗」(金沢市尾張町)や料理店「嗜季(しき)」(主計町)を運営するなど、町家の活用を推進する。同社の小津誠一社長は「町家を壊して駐車場にするのは簡単だが、二度と元に戻すことのできない貴重な建造物。活用の選択の幅が広いことをアピールしていきたい」と話す。
料金は、平日=1万8,000円(1人ごとに1,000円加算)、金曜・土曜・祝前日・繁忙期=2万3,000円(1人ごとに1,000円加算、料金は全て税別)。チェックインは15時~、チェックアウトは11時。