金沢市の野町駅(野町5)と白山市の鶴来駅を結ぶ北陸鉄道石川線で6月23日、夏恒例の「ビール電車」の臨時運行が始まった。車内では生ビールが飲み放題となり、乗客は友人や家族と共に盛り上がった。
電車は2両編成で、座席前の通路に真っ白なクロスを掛けた長テーブルが用意され、天井からはちょうちんがつるされて、車内はさながらビアレストランのような雰囲気に。初日の23日は48人が乗り込み、野町駅-鶴来駅間の往復1時間に鶴来駅での停車時間を加えた約1時間40分間、車内を独占して宴会を楽しんだ。
この電車の時速は自動車よりも遅い約28キロメートルで、車窓越しに夕暮れの住宅街や水田、遠くの山々をゆっくりと眺めることができ、開放感満点。乗客は次々にジョッキを空にし、係員がサーバーで注いではテーブルに運んでいた。
途中、フラダンス教室「フイ・フラ・オ・レイアロハ金沢スタジオ」(広坂1)の7人が「カプアウイ」「バリバリの浜辺」など3曲を披露し、華を添えた。
友人と共に浴衣姿で参加した金沢市内の主婦(77)は「開放的で、ビルの屋上のビアガーデンよりも楽しい。限られた空間だが、(車窓からの)景色が変わるところもいい」と声を弾ませ、元同僚たちと共に毎年、乗車しているという金沢市の会社員女性(52)は「片道で平均、4~5杯は飲んでいる。十分、元は取れた」と笑顔を見せた。
同社では、日頃、石川線を利用していない人たちに電車に目を向けてもらい、今後の利用拡大につなげようと、毎年夏に「ビール電車」企画を実施している。好評を博しているため、今年は運行日を昨年よりも3日間増やし、9日間とした。
今後の運行日は7月7日、21日、8月4日、11日、18日、9月1日、8日、15日。このうち、9月1日のみ鶴来駅発着で、残りの7日間は野町駅発着となる。料金(運賃含む)はおつまみ弁当とお茶付きで1人3,000円。和服姿の女性は2,000円に割り引く。予約制で定員64人。申し込みは運行日前日の正午までに、北陸鉄道鉄道部ビール電車係(TEL076-272-2221)まで。