金沢の複合商業ビル「ラブロ片町」(金沢市片町2)に8月2日、離職者を対象に職業訓練を実施するITと介護のスクールが開校した。2014年度をめどに建て替えを計画中の同ビルでは空きスペースが増えており、管理・運営するディー・アンド・シー(同)はにぎわい創出につながると歓迎している。
スクールは、羽咋市と穴水町、志賀町、かほく市でITと介護の教室を開いているドット(羽咋市)が経営する。かねてから金沢市内での開校を希望し、片町・竪町近辺で場所を探していたという。
教室は約330平方メートルの広さで、IT用3教室と介護用1教室、事務室を備えた。厚生労働省緊急人材育成支援事業の委託を受けた「ITスキル基礎科」「ホームヘルパー2級養成科」などの授業を行う。
ITスキル基礎科はパソコン初心者が対象で、電源の入れ方、マウスの使い方から指導。チラシ作成や商品管理、プレゼンテーションの実習も行う。ホームヘルパー2級養成科では、教室に車椅子やベッド、浴槽、ポータブルトイレを持ち込み、利用者の負担にならない介護の方法を身に着ける。特別養護老人ホームやデイサービスセンターでの実習も予定している。いずれも公共職業安定所(ハローワーク)が認めた離職者だけが無料で受講できる。
2日は「ITスキル基礎科」が開講し、金沢市と白山市の男女8人が授業に聞き入った。訓練期間は3カ月間。9日には「ホームヘルパー2級養成科」が始まる。
同社の谷島憲洋取締役本部長は「ラブロ片町はバス停の前にあって便利なうえに、知名度が高く、誰にでもすぐにわかってもらえる。受講生の仕事が決まり、卒業後も買い物に来てくれるようになれば言うことがない」と好立地での開講を喜ぶ。
受講申し込みはハローワークまで。
同ビルは1923(大正12)年に木造3階建てで建築され、改築・建て増しを繰り返し、1974(昭和49)年、現在の形が出来上がった。北陸新幹線金沢開業が予定されている2014年度をめどに、建て替え計画が進められている。素案では、同ビル敷地に近隣の商業地を加えた約4500平方メートルを使い、商業ビルと公共施設が共存し、市民らが利用できる吹き抜けの広場を備えた建物にする方向で検討されている。建て替え工事開始まで時間が限られていることと、老朽化が著しいことから、現在、3階~7階のフロアは約3割が空いた歯抜け状態で、新しい店舗や施設の誘致が課題となっていた。