プロ野球独立リーグ・BCリーグの「石川ミリオンスターズ」と、社会人野球の地元クラブチーム「ハードボールクラブ(HBC)金沢」は3月19日、金沢市民野球場(磯部町)で東日本大震災復興支援ゲームを行った。球場には、例年の交流戦の観客数を大きく上回る約350人が趣旨に賛同して足を運び、熱戦を楽しんだ。
試合終了後、一列に並んで観客を見送る石川ミリオンスターズの選手
両チームはプロとアマチュアの枠を越え、毎年、公式戦開幕前に交流戦を行っている。観客数は例年100人ほどにとどまっていたが、今回は選手やスタッフらが友人や知人に「被災地支援に協力してほしい」と呼び掛けたことから約350人に膨らんだ。球場を訪れた観客は、正面スタンド入場口で選手が持つ募金箱に次々と善意を寄せた。
ゲーム開始に先立ち、両チームの選手は1塁側と3塁側に整列し黙とう。球場は一瞬、静寂に包まれた。
試合は4回表、HBC金沢が1点を入れて先制したが、7回裏に石川ミリオンスターズが2点を入れて逆転。8回裏にはさらに1点を入れ、同チームが3-1で逃げ切った。
試合終了後は、同チームの選手全員が入場口前に一列に並び、球場を出る観客に「ご協力ありがとうございました」と頭を下げた。
HBC金沢の土井昭大外野手(28)の妻、由美子さん(34)は友人の4家族を伴い、1~4歳児を交えた総勢18人で観戦。同チームが得点すると大きな拍手を送った。由美子さんは「地元の関西で起きた阪神大震災の時、手助けできなかったことを後悔している。今回は少しでも募金が増えればいいと思い、友達を誘った」と話していた。
福島県郡山市出身で、実家のタンスや棚が地震の揺れで倒れたという石川ミリオンスターズの佐竹由匡外野手(22)は「ちょっとの間でも金沢に来てほしいと父母らに言っているが、祖母と祖父の弟が入院中のため動けないと言われた。心配している」と不安な胸の内を明かした。自らもふるさとの被害を憂い、街中に設置されている募金箱によく義援金を入れているという。
同チームの森慎二監督は「被災された方々が安心して生活できる日が来るまで支援していきたい」と話し、中川清之HBC金沢監督は「知り合いに声をかけ、球場に来ていただいた。人と人とのつながりの大切さを実感している」と、感謝の思いを込めた。
両チームは4月2日・3日にも、県立野球場(北塚町)で復興支援ゲームを実施する。両日も観戦は無料。石川ミリオンスターズは4月9日の開幕戦以降も、会場に募金箱を設置する。