金沢の特産品「かぶら寿し」などで知られる漬物専門店「四十萬谷(しじまや)本舗」(金沢市弥生1、TEL 076-241-4173)は、石川県産の食材や漬物を使ったジェラートの開発に取り組んでおり、11月までに「こだわり野菜ジェラート」9種類の販売を開始した。
同社は明治8年創業。寒ブリをカブラに挟んで麹で漬け込んだ伝統食「かぶら寿し」や野菜を加賀麹味噌と加賀菊酒の酒粕で漬け込んだ「金城漬」などを製造販売している。「ふるさとの風土を大切にし、食を通じて健康で豊かな暮らしに貢献する」という企業理念のもと、伝統食や地場産野菜の普及に取り組んでおり、四十萬谷正久社長と四十萬谷直美さんはベジタブル&フルーツマイスター、社員4人がジュニアマイスターの資格を持つ。
オリジナルジェラートは「伝統食や地元の食材をいろんな年代の方に手軽に味わってほしい」(四十萬谷社長)との思いから企画され、石川県能登町の酪農家が手がけたジェラート店「マルガージェラート」と考え方や方向性が一致したことから、共同開発が始まった。
同商品には石川県産の野菜や同社で加工した漬物が使用され、素材の個性を生かした味わいとともにそれぞれの食感も楽しめるのが特徴。6月23日より、「五郎島金時」「深層水とまと」「梅干し」「加賀いり茶」「加賀金城味噌」「奥能登ミルク」の販売を開始し、10月初めに「加賀の味平(あじへい)かぼちゃ」と金城漬を使用した「花きんじょ」が加わった。
価格はいずれも378円(125ミリリットル)。本店(弥生1)、アトリオ店(香林坊1)、金沢南店(野々市町)の3店舗ではディッピング販売も行っている(冬期は除く)。10月25日からは、石川県農業総合研究センターが育成したリンゴ新品種「秋星(しゅうせい)」のジェラートを同3店舗で限定販売。味には問題はないがサイズや見た目の問題で市場に出せない規格外品を使用しており、県産品種の普及はもちろん、規格外品の有効活用にもつながっている。
四十萬谷社長によると、ジェラートの販売開始以来、高校生などの新しい客層が店舗を訪れるようになったほか、トマト嫌いの子どもが「深層水とまと」を好んで食べたり、左党の男性から「梅干し」「加賀いり茶」が好評を得るなど、ジェラートに加工することで幅広い層に地場産の野菜や伝統食の味わいが受け入れられているという。同社では、今後も地元の素材を生かした商品を開発していく。
同商品は同社の各店舗で販売するほか、オンラインショップでも取り扱っている。