金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL 076-220-2800)で現在、開館5周年記念展「オラファー・エリアソン~あなたに出会うとき/”Your chance encounter”」が開催されている。
同展では、サイト・スペシフィック(特定の場所のために制作された)作品を数多く発表してきたデンマーク出身の現代美術作家オラファー・エリアソン氏が妹島和世+西沢立衛/SANAAの設計・デザインした同館を建築的・機能的に読み解き、展示室のみならず場所の特性に合わせた展示を行っている。
同氏はコペンハーゲンとベルリンを拠点に活動し、色・光・鏡あるいは霧などの自然現象を駆使し人間の知覚の仕組みを問う作品で知られている。北米の巡回展や大型のパブリックアートプロジェクトを手がけるなど、その活動は世界的に注目されている。2003年の「ヴェネツィア・ビエンナーレ」でデンマーク代表として発表した作品「La situazione antispettiva(反視的状況)」は、同館のコレクションのひとつ。
同館が「まちにひらかれた美術館」として社会的機能を果たしていることに注目する同氏は、自身の作品を通して「美術館は社会から切り離された芸術を鑑賞するためだけの空間ではなく、社会や都市と深くかかわれる貴重な公共の場」と提案する。
展示作品の「Your atmospheric colour atlas(あなたが創りだす大気の色地図)」は、大きな展示室いっぱいに人工的に霧を発生させ、3色の色付き蛍光管が発する色により空間が埋め尽くされる。来場者は色同士が混じり合う位置に自ら動くことで、無限に自分だけの色をつくり出すことができる。「Eye activity line」は、壁にA5サイズ程の異なる色のキャンバス317枚展示し、鮮やかな色パレットのような作品をたどる視線によってあらためて空間を意識する仕組みをつくっている。また、同館の建築的特徴である回遊性や水平性を生かし、展示室以外に通路や休憩スペースにも作品が展示されている。
同館では来年、同氏による新しい恒久展示作品「Colour activity house」も設置される。高さ約3メートル、直径約8メートルの湾曲した色ガラスが渦巻くように自立する同作品は、立つ位置や光の強弱によって異なる色相を生み出し来館者を楽しませる。
開場時間は、10時~18時(金・土曜日は20時まで)。休場日は、月曜日。入場料は、一般=1,000円、大学生=800円、小中高生=400円、65歳以上=800円。来年3月22日まで。