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金沢でバリアフリーシンポジウム 障害のある書家によるパフォーマンスも

金澤翔子さん(右)が揮毫した「飛翔」

金澤翔子さん(右)が揮毫した「飛翔」

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 「共生社会バリアフリーシンポジウム in 金沢」が11月22日、金沢市総合体育館で行われ、オープニングで障害のある書家が揮毫(きごう)パフォーマンスを行った。主催は金沢市や国土交通省などで構成する「共生社会ホストタウン連絡協議会」。

「共生社会バリアフリーシンポジウム in 金沢」

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 揮毫パフォーマンスを行ったのは金澤翔子さん。国内外で個展や公演を行っているダウン症の書家で、NHK大河ドラマ「平清盛」の題字や東京オリンピックの公式アートポスターなどを制作した経歴がある。

 当日は、会場となった体育館の競技場に集まった大勢の観客の前で、翔子さんは畳ほどの大きさの紙2枚に大きな筆で「飛翔」と力強く揮毫した。

 続いて行われた基調講演では、翔子さんの母親で書家の泰子さんが、「支えあい、ともに生きる」をテーマに講演した。夫の遺言もあり、20歳で娘の書で初個展を開くと反響が大きく、その後は展覧会を530回以上、書のパフォーマンスも1300回以上行っているという。

 泰子さんは「娘は人と比べることを知らないので、うらやみやねたみ、競争心がない純度の高い魂が育った。社会を理解していないので欲もない。未来の概念を持たないので、今だけを生きている。実に幸せな毎日を送っているので、その姿を見た周りの人たちも幸せに感じてくれる」と分析する。その上で翔子さんの作品は「無心で制作しているので、知識や情報を持ってしまった書家には書けない作品を作ることができる。それを感じ取った人が感動して涙を流してくれる。私は書を70年もやっているが、自分の作品で涙する人はなかった」と話す。

 障害のある子を産み育てていく上で多くの苦しく悲しい思いをしてきたが、現在は今までで一番幸せに感じているという泰子さん。「社会はいろいろある。その社会に受け入れられなくても、本人は幸せに過ごしている。生きてさえいれば絶望はない、ということを皆さんに伝えたい」と講演を締めくくった。

 このほか会場では、バリアフリーに関するパネルディスカッション、車いすバスケットボールの体験会やエキシビションマッチ、車いすフェンシング体験、点字ブロック体験などが行われた。

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