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金沢21美でナイジェリア人作家が輪島塗など伝統工芸とコラボした作品展示

「シェイプド・バイ・メニー」を使ったパフォーマンスをする中島大河さん(左)と梨瑳子さん

「シェイプド・バイ・メニー」を使ったパフォーマンスをする中島大河さん(左)と梨瑳子さん

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 展覧会「オトボン・ンカンガ シェイプド・バイ・メニー」が9月27日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で始まった。

「オトボン・ンカンガ シェイプド・バイ・メニー」展の様子

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 オトボン・ンカンガさんはナイジェリア生まれの作家で、ベルギーを拠点に活動している。今回制作した「シェイプド・バイ・メニー」はスティック状の作品で、ンカンガさんがデザインした設計図を基に、石川県内の素材や伝統工芸に携わる職人らが技術を結集し完成させた。

 昨年夏に初来日したンカンガさんは能登や加賀を訪ね、さまざまな工芸や技術に触れた。ンカンガさんは「50年を超えるアーティスト人生が大きく変わるような経験をした。工芸の精密さに驚き、たくさんのアイデアをもらった。工芸がいかに土地と深く関わり、職人たちの物語が受け継がれてきたか、未来へつなげる作品にしたいと構想を練った」と振り返る。

  制作に参加したのは、輪島塗の慶塚英信さん、山中漆器の清水一人さん、日本刺繍(ししゅう)の宮越仁美さん、金工の藤川耕生さん、能登上布の肩クッションは徳井綾さんが手がけた。和ろうそくは「高澤商店」(七尾市一本杉町)、能登上布は「山崎麻織物工房」(羽咋市下曽祢町)が協力。スティックの素材として「フルタニランバー」(金沢市湊1)が石川県産のスギを提供し、「ルーティブ」(湯涌荒屋町)が加工を行った。

 展示室では制作に携わった伝統工芸の紹介映像のほか、制作工程や作家の思いを伝える映像をモニターで流す。会期中の週末には総勢27人のパフォーマーが2人一組になり、作品を担いで素材や伝統工芸、土地にまつわる物語を伝えるパフォーマンスも行う。9月26日の制作発表会では、制作にも参加した珠洲焼作家の中島大河さんが俳優の梨瑳子さんと作品を担いで、展示室内を回った。中島さんは珠洲市で祭りの際に歌われるという歌を披露するなどした。

 展示室内では同館が昨年度収蔵したンカンガさんのタペストリー作品「Tied to the Other Side」も初公開する。鷲田めるろ館長は「現代美術と工芸が交差する展示になった。世界と石川をつなぎ、造形美術とパフォーマンスをつなぐ作品。当館にとって重要な要素が全て詰まっている」と話す。

 開館時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜休館。入場無料。11月24日まで。

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