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金沢でトークイベント「C2 KANAZAWA」 伝統や文化を議論

左から細尾真孝さん、奈良祐希さん

左から細尾真孝さん、奈良祐希さん

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 金沢の「未来への羅針盤」をテーマにしたトークイベント「C2 KANAZAWA 2025」が9月6日、金沢市文化ホール(金沢市高岡町)で行われた。

金沢でトークイベント「C2 KANAZAWA 2025」

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 文化を「耕す」意味で「Cultivate」、課題に「挑戦」する意味の「Challenge」の2つのキーワードの頭文字からC2と名付けたイベントで、今回が3回目。主催は福光屋社長の福光太一郎さんを委員長とする実行委員会。当日は金沢市の村山卓市長のほか、企業人や文化人など18人のゲストが、7つのセッションに分かれて金沢のあるべき姿を議論した。

 「老舗の継承力×時代への挑戦力」のセッションに登壇した西陣織「細尾」(京都市)の細尾真孝社長は、1688(元禄元)年創業の老舗ながら海外のファッションブランドに生地を提供したり、インテリアやアートの分野に挑戦したりと、伝統工芸の枠を超えた事業を積極的に展開している。「『伝統を守る』というのは気持ちよい言葉だが、変化や挑戦ができなくなる。成功の再生産は必ず劣化していくので、壊し続けている。本物の伝統は、壊しても壊れないと考えている」と話す。

 同セッションで細尾さんと対談した陶芸家で建築家の奈良祐希さんは、金沢で加賀藩のお抱え陶工として始まった創業約360年の大樋焼窯元で生まれ育った。最近ではパブリックアートを制作したり、店舗のインテリアをデザインしたりと活動の幅を拡げている。「型ができてしまうと衰退してしまうので、型を壊すことを意識している。精神性や身体性をしっかり『承継』すれば伝統の大切なものは残るはず」と話す。

 「アート?工芸?金沢の文化的価値とは」のセッションに登壇した「KAMU Kanazawa」(広坂1)館長の林田堅太郎さんは、金沢中心部に点在する回遊型展示スペースを運営する形でモダンアートのミュージアムを作った。最近では写真家の作品を飲み屋街に設置したり、電柱にアート作品の看板を設置したりと、パブリックアートにも取り組んでいるという。「面白いことをやって、それに共感してくれる人が増えることでさらに面白いことができる。金沢は完成した街になってほしくない。挑戦によって変わり続ける街であってほしい」と話す。

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