
昭和期のリサイクル食器を中心に販売する「昭和スタイル新竪町店」(金沢市新竪町3)が8月8日、新竪町商店街にオープンした。運営するのは「ファーストビルディングス」(野々市市押野1)。
「昭和スタイル」は一般家庭や飲食店などで使われていた食器を引き取り、全て手作業でクリーニングした上でリサイクル品として販売するブランド。2022年6月に同社が展開するインテリアショップ「WELLSPRING(ウェルスプリング)」の旗艦店を能登の珠洲市に出店し、少子高齢化や人口減少による空き家問題に触れたことがきっかけで立ち上げた。空き家処分の際の残置物を買い取り、リサイクルして販売するサーキュラーエコノミー(循環経済)の仕組みで問題解決につなげる。
社長の井川正志さんは「家具や雑貨の買い付けを行う中で、最近はシンプルなデザインが多く、目新しさや驚きがある商品が少ないと感じていた。珠洲で見つけた食器はデザイン的に発見が多く魅力を感じた」と話す。
2024年1月に発生した能登半島地震では珠洲市でも家屋が倒壊するなど、甚大な被害があった。公費解体の期限が迫るにつれて依頼が急増し、同社が買い取った食器類は15トンにも上るという。
2024年11月には金沢市内の百貨店・香林坊アトリオ(香林坊1)に実店舗を出店。流通の幅を広げるため、2店舗目として新竪町店をオープンした。店舗は2階建て。地下1階を含む約27坪には販売スペ-スのほか、クリーニング作業場や倉庫も併設する。店内の食器は660円~1,980円で、5つの価格帯に分けて販売する。
井川さんは「震災の影響で、一般家庭だけでなく営業できなくなった仕出し店などから、能登の『ヨバレ』(祭りの日などに食事でもてなす風習)で使われた立派なお膳や輪島塗の器などの引き取り依頼もあった。長年インテリア業で培った目利きを生かし、昭和期の食器に新たな価値を見いだすことで、伝統や文化を継承したい」と話す。
営業時間は10時~17時。火曜・水曜定休。