
能登半島地震の被災地から救出した文化財などを展示する「未来へつなぐ―能登半島地震とレスキュー文化財」が現在、石川県立歴史博物館(金沢市出羽町)で開かれている。
「文化財レスキュー」は、大規模災害によって被災し、失われる危機にある歴史資料などを搬出・保全する取り組み。会場には、能登地方の被災地から救出された文化財や災害状況を伝える資料など合わせて107点を展示する。
展示物には、救出の過程で存在が確認された曹源寺(珠洲市)の木造阿弥陀如来坐像や、高照寺(同)の木造薬師如来坐像といった仏像が含まれる。ふすまの中に眠っていた江戸時代後期の古文書や旧家に伝わった資料をはじめ、網元の家に江戸時代から伝わる資料や、漆器職人宅に伝わる輪島塗見本送付用図案など、地域の文化や歴史を伝える貴重な資料も並ぶ。そのほか、被災した民家から救出された岩のりを採取・加工するための竹細工や、網元の家に伝来した婚礼で使う酒器などの民具、地域の祭礼・儀式を紹介した文書、珠洲市の正院町避難所で作られていた「正院ひなん所新聞」などの災害資料も展示する。
同博物館学芸主任の斎藤仁志さんは「多くの人に、文化財への理解を深めてもらいたい。家や小さな神社仏閣にも地域の歴史を語る重要な資料が眠っている。埋もれたままの文化財が、まだあるかもしれない。文化財レスキューを知り、今からでも救出の声を上げてほしい」と話す。
8月31日まで。8月20日13時30分から学芸員が展示を解説する。
同博物館の開館時間は9時~17時。8、9日と15、16日の夜間開館日は19時まで。入場料は、一般=300円、高校生以下無料。