
クリエーターによるトークイベント「EAT KANAZAWA 2025」が2月23日、金沢市民芸術村(金沢市大和町1)パフォーミングスクエアで開かれた。
実行委員会と金沢市が企画し、今回で28回目。「EAT」とは「Electronic Art Talent」と食文化としての「EAT」の意味をかけ合わせたもの。毎年、時代を象徴する第一線で活躍するクリエーターを招き、金沢から新しい価値や可能性を発信している。今年は「灯台もと明るし-未来を面白がる人びと-」がコンセプト。「『アニメーション』の未来を面白がる人びと」「『伝統文化』の未来を面白がる人びと」「『酒造り』の未来を面白がる人びと」の3つのテーマでトークセッションを行った。
「伝統文化」のテーマでは、音楽家のミヤタコーヘイさん、ライフスタイルブランド「HAA」社長の池田佳乃子さん、落語家の桂枝之進さんをゲストに、デザイナーの上町達也さんがモデレーター務め、伝統文化の未来の可能性について議論した。
上町さんは「伝統において大事なことは、どの時代にも新しい挑戦が連続的に発生することでは。伝統があるから革新が生まれると思うし、革新があるからこそ、伝統が際立つ。敵対するものではなく、高め合うために必要不可欠な存在では」と投げかけた。
「日常に、深呼吸を届ける」をミッションに湯治文化をコンセプトにしたライフスタイルブランドを展開する池田さんは「お湯に漬かった時の『は~』となった状態を、世界中に届けたい。入浴の文化がない国もたくさんあるので、風呂に漬かるという行為を残そうとは思っていない。深呼吸ができる場所や本、アプリなど、『お湯のない温泉』が広がっていくことを目指している」と話した。
自由な音楽を求めて即興音楽家として活動し、「クラシックの反逆者」の異名を持つミヤタさんは「音楽は口で話すよりも伝えやすいもの。AIなど便利な機能によって、仕事がなくなるケースもあるが、音楽をはじめとした伝統文化と呼ばれるものは、これからも語り継がれるし、消えないもの。だから価値があるし、大切に守っていかなければ」と話した。
落語とクラブカルチャーなどをかけ合わせた「Z落語」を行っている桂さんは「落語は古典芸能でなく、肩肘張らない大衆芸能として残したい。いろいろな文化と落語のミクスチャーを行っているが、相手のカルチャーに対し、愛を持ってコラボしていきたい。大衆芸能という本質的な目的に対して、こだわりを持ち、その手段においてこだわりを持たずにやっていきたい」と話した。
村山卓金沢市長は「未来を面白がる人たちの話を聞いて、どうしたら自分も面白がれるか。EAT KANAZAWAの取り組みが皆さまにとって刺激になることを期待している」と話す。