商店街の空きビルをアートセンターに-金沢でプロジェクト始動

清掃が終わったビル内で今後の活動について話し合う参加者

清掃が終わったビル内で今後の活動について話し合う参加者

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 兼六園と目と鼻の先にある商店街の空きビルを改装してアートセンターを生み出すプロジェクト「Z project」が5月17日、始動し、学生や地域住民などボランティアスタッフ約60人が同ビルの清掃活動に汗を流した。

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 同プロジェクトは、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1、TEL 076-220-2800)が今秋開催する展覧会「金沢アートプラットホーム2008」の一環。同展は、金沢の「街」を舞台に行うプロジェクト型の展覧会で、美術館ではなく公園や商店街、街中の空き家などを活動の場として国内外のアーティスト約20人が作品を発表する。アートを架け橋に地域の人々と協働し、街を巻き込んで関わりをつくっていく試みで、3年ごとに継続していく予定。

 同プロジェクトを手がける中村政人さんは、マクドナルドやコンビニのサインを作品化した作家活動で知られる一方、1997年より非営利芸術活動「コマンドN」を主宰し、アーティストが中心となり街中で展覧会やスペース運営を行う活動を企画、実現してきた。出身地の秋田県大館市でアートプロジェクト「ゼロダテ」を継続開催するほか、氷見市、沖縄市、水戸市でも各地の特性を生かしたプロジェクトを展開している。

 「Z project」は、兼六大通り商店街の山越ビル(小将町1)を改修し、全国公募の無審査出品制アート展や作品レンタルシステムの構築、同ビルを利用したカフェやショップの運営、同商店街の別のビルを改装して行うレジデンスプログラムなどを進めていく計画。プロジェクト名は、Zが「絶望」のZであり、アルファベット最後の文字であると同時に、Z軸が空間的な広がりを生む存在でもあることから、負の力を反転させ、自らの手で新しい街の価値を築くことを意味して名づけられた。清掃活動には学生や地域住民、商店街の店主らが参加し、アート拠点として生まれ変わる同ビルの第一歩を切り開いた。

 清掃後に行われたミーティングでは、中村さんが他地域での活動内容を紹介し、今回のプロジェクトにかける思いや活動の意義を語った後、参加者と意見を交わした。清掃を終えた参加者は「きれいになった2階を見てニヤニヤした」「これからどうなるかワクワクする」などと述べて充実感を漂わせた。空きビルを提供し、清掃活動にも立ち会った山越の統括ディレクター・山越敏雄さんは「商店街は兼六園や美術館にも近く、奥には金大や美大があるうえに山側環状道路が整備されて通行量が増したにもかかわらず、基本的には通過点でしかなく、まさにZの状態。しかし、Zの状態だったからこそ何かに活路を見出してやっていきたいと思い、その期待感にかけて、ビルを貸すことを決めた。ここが継続的な拠点となり、いろいろな広がりができれば、自分たちにとっても新しいチャンスになる」と話し、中村さんは「そのためには、次のアクションを起こし、活動を社会やこの街に還元して信頼を得られるようにしたい」と参加者に呼びかける。

Command Nゼロダテ兼六大通り振興会金沢21世紀美術館

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