市内に点在するアーティスト・工芸作家のアトリエや町家、茶室、近代建築など文化的なスポットを巡る「金沢クリエイティブツーリズム」が10月26日に行われ、参加者が大樋美術館と陶芸家・中村卓夫さんの自宅兼アトリエを見学した。
2010年に「創造都市金沢」の魅力を県内外に発信することを目的に始まった同ツーリズムは、アトリエや町家の普段は見られないところまで案内し、毎回好評を得ている。今秋からはより厳選したツアー「金沢アート&カルチャー巡り」をスタート。ホテル日航金沢、ANAクラウンプラザホテル金沢と提携し、同ツアー付き宿泊プランの販売も開始した。今回はその2回目。建築にもこだわりを持つ十代 大樋長左衛門さん、大樋年雄さんと中村さんの創作現場を巡り、空間やしつらえも学べるツアーとして企画された。
一行はまず大樋美術館を訪問。大樋焼や金沢の茶の湯文化について年雄さんから解説を受け、熱心に聞き入った。その後、サントリー美術館などを手掛けた建築家・隈(くま)研吾さんによって、この春改築された大樋ギャラリーを見学。樹齢500年の松が臨める茶室で一服しながら、作品について質問を投げ掛けるなど、一線で活躍する陶芸家との時間を楽しんだ。
続いて山代温泉の新総湯などを手掛けた建築家・内藤廣(ひろし)さんの設計による中村卓夫さんの自宅兼アトリエを訪問。卓夫さんの父・中村梅山(ばいざん)さんが手掛けた茶室では、室内の随所にちりばめられたこだわりについて説明を受け、梅山さんゆかりの品として披露された筆などに見入った。ギャラリーでは、作品に込めた思いや創作秘話を聞きながら、斬新で美しい器などを見て回った。
山口県から訪れた参加者は、「創作現場を見せていただいた上に、作家さんと直接お話ができるのは貴重な経験。大満足の金沢旅行になった」と声を弾ませた。
金沢クリエイティブツーリズム推進機構の高山健太郎さんは、「観光ではなかなかお目にかかることができない方に会いその思いに触れて、金沢のより深い魅力を体感していただけたらうれしい。今後も定期的に開催するので、興味がある方はぜひ参加してもらえれば」と話す。11月16日には、金沢市指定文化財 旧園邸 松向庵で茶室の見学、表千家教授者の川崎宗晃さんによるワークショップなどを行うツアーを予定している。