ロンドンで行われた国際的なワインコンテスト「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」の「SAKE(さけ)部門」純米酒の部で、車多酒造(白山市)の「天狗舞 山廃仕込純米酒」が最高賞の「トロフィー」に輝いた。
「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」は、1983年に始まったブラインド・テイスティング(銘柄を隠しての利き酒)でのコンテスト。ワイン専門家約400人が審査員を務め、毎年、世界各国から集まったワイン約1万銘柄の中から、「トロフィー」や金賞、銀賞、銅賞などを決める。2007年度からは日本酒を対象にした「SAKE部門」が設けられ、純米酒、純米吟醸酒・純米大吟醸酒、本醸造酒、吟醸酒・大吟醸酒、古酒の5部門で審査が行われている。
今年の純米酒の部には、日本国内の109の酒蔵から122銘柄が出品され、このうち「天狗舞 山廃仕込純米酒」が審査員から最高の評価を受けた。
同純米酒は、自社敷地の地下からくみ上げた白山の伏流水と石川・福井で収穫された酒米「五百万石」を使い、昔ながらの酒造りの技「山廃仕込み」でうま味や酸味を引き出した同社の看板商品。低温で時間をかけた乳酸発酵と2年間の熟成で得られた芳醇(ほうじゅん)な味わい、複雑な香り、濃い山吹色が特徴。
同社は同コンクール関係者に誘われ、「SAKE部門」が設立された初年度から毎年、自社製品を出品してきた。これまでに純米酒や純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部門で銀賞を受けたことはあるが、「トロフィー」獲得は初めて。
受賞後は、賞の名称を記したシールを化粧箱に貼り付けたり、ポスターを作ったりしてPRし、酒販店や飲食店などで売れ行きが伸びている。イギリスやスペイン、ブラジルの日本大使館からも初めて注文が舞い込み、コンクールの影響力の大きさを実感しているという。
同社の德田耕二常務は「効率よりも味わいを重視して、時間や手間がかかり、技術も必要な山廃仕込みを続けて来た。蔵の個性が認められて本当にうれしい。来年、連続受賞を狙いたい」と、顔をほころばせる。
「天狗舞 山廃仕込純米酒」の価格は、4合瓶=1,384円、1升瓶=2,861円。