金沢工業大学(野々市町)は3月30日、学生と教員、地元企業、消費者が共にパソコンや携帯情報端末向けの新しいサービスを考える「KIT地域クラウドイノベーションプロジェクト」を発足させた。
「クラウド」は「クラウドコンピューティング」を指し、プロジェクトでは主に同コンピューティングの形態で提供するサービスの開発を目指す。
参加企業が2カ月に1回程度開かれる会合の場で、実現したい新規ビジネスや業界が抱える課題を提示し、興味を持つ人を募ってワーキンググループを結成し実際の開発に乗り出す仕組み。
県情報システム工業会などを通じて県内の企業に参加を打診したところ、情報系をはじめ、建設コンサルタント、印刷、デザイン、イベント、高速道路管理などの企業から約70人の申し込みがあった。学生は有志約70人、教員は約10人が名乗りを上げ、野々市町の協力を得て募集した消費者も加わった。
30日は同大で約130人が参加して発足会が行われ、日下迢(たかし)同大情報学部長が「地方の特性を生かした情報発信によって、国内外に通用するビジネスが展開できるのでは。作る側の皆さんと使う側とが意見を交換し交流する場にしたい」とあいさつ。続いて、日本アンドロイドの会会長を務める丸山不二夫早稲田大学大学院客員教授が「広がるアンドロイドの世界」をテーマに基調講演を行った。
学生グループは近くを走るタクシーの位置情報と、運転手の英会話力などPRポイントを携帯情報端末の画面に配信し、消費者のタクシー選別を容易にする新サービスを早速提案した。
事務局を担当する福田崇之同大企画調整課長は「集まりの中で化学反応が起きることを期待している。学生への刺激、教育に役立てたい」と話す。